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感想

感想:舞台 エレファント・マン(小瀧望 主演)

エレファントマン 舞台 感想 

私はFC枠全滅、世田谷パブリックシアターの先行オンライン会員でも全滅でした。
結局世田谷パブリックシアターの一般販売でチケットを取ることができました。

【メモ】世田谷パブリックシアターWEB先着の申込方法 手順備忘録としてメモします。 私の失敗談▶️▶️ SePT(世田谷パブリックシアター)オンライン先行販売の際、ログイン画面が下に...

2020年11月7日土曜に、ジャニーズWEST小瀧望くん主演【エレファント・マン】見に行きました。感想を書きます。

ネタバレしてます。

あらすじを見る(タップ)
19世紀のロンドン。その外見により「エレファント・マン」として、見世物小屋に立たされていた青年ジョン・メリック
肥大した頭蓋骨は額から突き出し、体の至るところに腫瘍があり、歩行も困難という状態だった。
ある日、見世物小屋で彼を見かけた外科医フレデリック・トリーヴズは、研究対象として彼を引き取り、自身が務める病院の屋根裏部屋に住まわせることにした。メリックにとっては、その空間が人生で初めて手にしたいこいの「家」となった。はじめは白痴はくち(※重度の知的障害の呼び方。 差別用語とされることがある)だと思われていたメリックだったが、やがてトリーヴズはメリックが聖書を熱心に読み、芸術を愛する美しい心の持ち主だということに気付く。当初は他人に対し怯えたような素振りを見せていたメリックも、トリーヴズと接するうちに徐々に心を開きはじめ、トリーヴズもまたメリックに関わることで、己の内心をかえりみるようになっていく。穏やかな気質のメリックには上流社会の人々の慰問いもん(不幸な人、苦労をしている人を見舞ってなぐさめること。)が続いた。その中に、舞台女優のケンダル夫人もいた。メリックはケンダル夫人に異性を感じ、ときめく。そして普通の人間のように振る舞いたいという思いに駆られていく・・・・。エレファント・マン ストーリー

エレファント・マン 小瀧望 Youtube 無料動画

世田谷パブリックシアターの公式Youtubeチャンネルでエレファント・マンの一部動画が公開されています。

アイドル小瀧くんはそこに居なかった

私は、「アイドルの小瀧くん」というイケメンを見にいく軽いノリでこの舞台観劇をしたのを後悔しました。

美しい小瀧くんを見に行く、という作品ではありません。

自分の心の醜さを思い知らされる作品です。

オペラグラスを使って、彼を見たのは冒頭の学会のシーンのみ。

あとは、ずっと”ジョン・メリック”として舞台上で生きていました。
(※肉眼でも十分顔の表情が分かる席でした)

そして、最後のカーテンコールで深々とおじぎをして顔をあげてニヤリと笑った彼を見たとき

「あ、そういえば小瀧くん主演の舞台だった」と気づくほどです。

完全にメリックが憑依していました。

いえ、彼がメリックでした。

全体を通して

シンプル is ベスト

ステージ上には、扉つきの巨大な半透明の仕切り。

シンプルなこの舞台装置が回転し、見世物小屋になったり病室になったりします。

雨のシーンでは、そんな使い方が…!という驚きです。

音楽も、寂し気なピアノがポロンポロン~。と響きます。シンプル。

の余韻にひたっています。観劇した日から2週間たったいまでも。

ぜぇぜぇ…と終始苦しそうに息をするメリック。

しかし、純粋さ・優しさ・若さ・聡明さ・はかなさ・切なさを感じるでした。

あれはジョン・メリックの。とても美しいでした。

あんなに美しい顔・スタイルの小瀧くんが、顔を常にゆがませ、体を曲げ、足をひきずって歩いている。

そうすると、私も「醜い顔と身体」という目で彼を見るようになった。

誰もが逃げ出す外見のメリックを小瀧くんが演じるというのは、この作品最大の皮肉なのかな?と思います。

美しい小瀧くんは、メリックの美しい心・魂の象徴と取りました

印象に残ったシーン・セリフ

ジョン・メリックへの変身

小瀧くんが出てきます。
「おお~。これが、小瀧くん!」と生存確認をしました。

その後、彼の頭上にはスクリーンが登場。

トリーブス医師がジョン・メリックの症状を学会で医師たち(?)に得意げに説明します。

そこに映し出された、エレファント・マンに目を奪われているとさぁ、大変。

いつの間にか、小瀧くんは消えてそこにはメリックがいました。

私は見逃したのですが、トリーヴスの説明に合わせて徐々にメリックへ変身するそうで。

スクリーンも大事ですが小瀧くんに注目です。

そして「私ならどうするかわかっています」というセリフにぞっとさせられます。

メリックの声が聞こえない人

かみさま… たすけて… 。観客にはハッキリ聞こえた。

でも、警察・荷物係には聞こえない。
ここすごく、怖いシーンでした。

弱者の声が聞こえない、一生懸命に声をあげているのに。

ありがたいことに、トリーヴス医師には聞こえた。
このシーンでは、彼は間違いなく「命の恩人」

トリーヴス医師の教育

規範を守ると幸せになれる、と繰り返しメリックに説く。そして、復唱させる。

ここもゾッとする。洗脳に見えた。

どーんどーんどーん

救貧院にいたころの話をするメリック。
観劇した日、私は救貧院について何も知らなかった。孤児が集まるところかな?と思って見ていた。

貧しいものを救うところ、という慈善事業イメージを文字面から受け取るが調べてみるとそうではない。

イングランドで16世紀にできた救貧法。貧しい者は自分の怠惰によるもので、自己責任だから働けというもの。そこには強制労働や厳しい職業訓練がされた。

あっこ
あっこ
産業革命の頃のイギリスって、「子どもも貴重な労働力」って炭鉱で働かされてる絵を見たことあるわ

参考:教養版史「知の回廊」63「19世紀の英文学と少年法」

メリックはそこで太鼓のように叩かれたと語った。

どーんどーんどーん…

訪問客

クリスマスにメリックの「家」に贈り物をもって訪問客があらわれます。

みな口をそろえて「お知り合いになれて嬉しいです」と言う。気味が悪い。

メリックと絡むのは流行りで、自分を「善人」に見せるには最高のネタなのかな?と感じました。

かつてのロスの役割(見世物小屋の主人)をトリーブス医師がやって、2ペンスの見物料金が高価なプレゼントになっただけで、結局は「見世物小屋」と変わらない。

48ポンド9シリング2ペンス

見世物小屋で1回2ペンスでメリックはその姿を人に見せた。1ペンスは200円ほど。

実在したメリックはWikipediaによると、1886年に貯めていたお金を奪われてベルギーに置き去りにされた。

1880年代の貨幣価値で計算する。

ロスに奪われた48ポンド9シリング2ペンスは、約240万円。(※お金の価値は変動するので、正確ではない)

240万円貯めるのに、何度・何人の好奇の目にさらされたのだろう。

そのたびに数えて、自分の取り分を計算していたのかな。

だから「48ポンド9シリング2ペンス!」と細かい単位まで叫んだ、と思った。

ロスを追い返す

このシーンが1番印象に残り、私は涙があふれた。

弱ったロスがメリックの家へきて、「また組もう!」と言う。
ロスが持病の話をしても、メリックと比べたらそんなもん…と正直思ってしまう。

そして、ロスを感情的に追い返す。メリックの心からの叫びが胸に響いた。

ケンダル婦人と雨の夜

メリックに初めて会う際に、ケンダル婦人は4種類のあいさつの練習をします。

どれも違いがあって、さすが大女優…とつぶやきました。

ケンダル婦人は舞台女優。

メリックとは逆の「美しい見た目」の象徴。

しかし、彼女もまた外見で周囲には違うようにとらえられていたようす。

ずっと雨の音が鳴ります。
婦人の行動により、メリックはトリーブス医師に叱られます。

メリック自身は「服を脱いで裸を見せてくれ」と言っていませんが…

見ている側としては、もうさっさと婦人にお願いしちゃいなよ!って思いました。

トリーヴス医師が、メリックに「人間らしい生活をさせる」と言ってますが性欲を「規範」により押さえつけるのは「幸せ」なんだろうか。

余命わずかな彼を規範でなんで縛るのか不思議だったのですが、1880年代のイギリスの思想・宗教観なども関係してるのかな?

おぉ…

メリックがトリーブス医師を質問攻めにしてイライラさせるシーン。

トリーブスからの返答を聞いて「おぉ…」と言う。

驚いた「おぉ…!」というよりは、私には嘆いているように聞こえた。

まるで、「おぉ…(神よ、彼をゆるしてください)」とでも続きそうな…。

トリーヴスの悪夢

立派な服を着たメリックがトリーブス医師を標本にして得意げに説明をはじめる。

舞台の序盤、トリーヴスがメリックに対して行ったヤツだ。

長台詞をスラスラと言う久しぶりに見る「小瀧くん」にハッとする。

しかし「これは、伝染病なのです」というセリフに崖から突き落とされた。

客席の私は、メリックにより病名を告知された気がした。

仰向けで寝ること

体育座りで寝ていたメリック。
仰向けで寝ることは、「普通の人間に近づくこと」だけどそれは死を意味する。

ゴム理事長

全体を通して、ゴム理事長が不気味なほどに怖い存在。

すべてを見透かしてるような感じ。

特に最後の最後のシーンで背筋が凍った。

メリックが「普通の人間に近づくこと」は利用する価値がなくなることを全部わかっていたかのような。

最後に

小瀧さん

「小瀧くん」いや、「小瀧さん」素晴らしかった。

この記事の最初で、私は「アイドルの小瀧くん」というイケメンを見にいく軽いノリでこの舞台観劇をしたのを後悔しました、と書きました。

それほどまでに、胸をしめつけられ、自分自身の内面をえぐられ恥ずかしくなり、劇場から逃げ出したくなるような舞台でした。

12/5の配信も楽しみにしています。

https://ima-ose.com/elephantoman-delivery/

配信の良いところ

舞台の現場では見えないところも見えます。

Twitterのジャス民の方が、足の小指を薬指に乗せて演技している!とお気づきの方がいらっしゃいました。

今回はアーカイブが1日あったので、何度もエレファントマンを楽しめて本当に良かった。

コロナが落ち着いても、配信という手段をとって欲しいなと思います。

エレファント・マン

エレファント・マンという作品に出逢い、他の関連作品にも触れようと思いました。

  • 映画版
  • 舞台版(デビット・ボーイさん)
  • ポニーキャニオン版(藤原竜也さん)

 

映画版は動画配信サイトU-NEXTで配信中(2020年11月28日現在)なのでこれから契約して観賞します。U-NEXT

U-NEXTは、無料トライアル期間が31日間あるので、他の作品も楽しみたいです^^
エレファント・マン 映画版 動画配信 VOD